こんぺいとう   
5月31日 vol.8
《感想文》 「『山月記』の教訓の奥深さ」アクトン 高2

 中島敦の小説『山月記』からは、個人レベルでの人間に対する教訓と、国などといったさらに大きな社会に対する教訓を同時に見出すことができた。
 まず、この小説は読者に過剰なプライドと自己満足を持つことの危なさを痛感させる。主人公の李徴は、公務員の職をやめて作詩活動を始めるが、プライドの高さと自己満足を理由に他人の批評を受け入れず、自分の腕を磨こうとしない。それがために名は上がらず、彼は結局前より下位の官職に就かなければならなくなる。彼はかつて見下していた後輩が上位にいることに嫉妬と怒りを感じ、この感情は最終的には虎への変身(つまり人間としての自滅)へ導く。この話の流れからは三つの重要な教訓が見出せる。まず、たとえ耳が痛くなるようでも、自分の腕を磨くためには他人の意見・批判を受け入れなければならない。さらに、プライドを理由に他人の意見を聞き入れないことは、自分の発展・成長の停止と、成長し続ける他人への嫉妬を導く。さらに、他人に嫉妬することは自滅を招く。従って、ある意味この小説は、人間としての生き方を語っている。
 また、特に作者の時代背景を考慮すると分かるが、この小説の教訓は国などといったさらに大きな社会・組織にも当てはまる。主人公の自己満足の状態から自滅状態への変化は、ある意味作者が生きていた時代までの中国史の流れの比喩表現である。主人公の李徴と同じく、(特に十八世紀の乾隆皇帝の時代の清朝)中国は、自国の文化や政治制度に対する過剰なプライド(中華思想)を理由に鎖国し、外国の産業生産手段、文化や制度を取り入れなくなる。自国の制度がみるみる変わっていく世界に対応できなくなり、中国はやむを得ず部分的植民地化や辛亥革命などを経て、西洋の制度を取り入れるようになる。そして(作者が死んだ少し後だが)中国が自国が遅れていることに怒り、焦燥に駆られ、大躍進や文化大革命といった自滅的な方向に走り始める。
 従って中国史の実例から見えるように、人間と同じく、社会や国も外からの考えを受け入れて自分を磨かなければならないこともこの小説から伝わってくる。この小説は、非常に重要な人間への教訓を含むと同時に、国や社会全体に対する重要な教訓を含んでいる。
【評】 『山月記』に含まれる教訓を初読の段階でみごとに読み込んでいますね。作者の意図を的確に分析した上で、中華思想への批判であると発展させているところが素晴らしいです。

《作文》 「先生、あのね」フィンチリー 小3

 わたしは、家ぞくでバンクホリデーの日に、ロチェスターにすんでいる友だちに、会いに行きました。
 わたしたちはみんなで海に行きました。すながなくてざんねんでしたが、石がたくさんあったので、みんなで貝や石をひろいました。
 その中に大きい貝があって、耳にあてると、なみの音が聞こえてきました。貝なのに、音が聞こえるので、すごいなと思いました。
 また、聞こえる貝をひろってみたいと思います。楽しかったです。
【評】 すてきなバンクホリデーだったのね。貝はどんな色だったのかな?

《詩》 「春の詩」クロイドン 中2

 春、夜明けと同時に、渡り鳥が飛んでくる。
 山に残っている雪が溶け、
 地面から、緑が芽生える。
 春、暖かい日差しが差し込み、
 桜が輝いている。
 春は新しい一年のスタート。
 人それぞれの、新しい一年のスタート。
 不安、期待、桜吹雪のように
 たくさん舞い上がって来る。
 花弁の数だけの人々がいて、
 花弁の数だけの不安、期待、
 春の楽しさもある。
 花弁は、大空を駆け上り、
 人々は人生の大空を駆け上っていく。
【評】 春にちなんだ美しい響きの言葉をたくさん使った、視覚的にも訴えてくる詩ですね。Fくんはどんなスタートだったのでしょうか。

《俳句》 「春・夏編」フィンチリー 小6

 桜の木 きれいに舞って 染まる道

 ふきのとう 雪をおしのけ ひと安心
【評】 季語を考えながら、「春」と「夏」の俳句を作ってみました。5・7・5のリズムにのるように、指を折りながら、言葉に真剣に向かい合った子どもたち。どの作品も、その情景が目の前に浮かんでくるようです。

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